温かくなると…
3月も残すところわずかになりました。年度のかわるこの季節、バタバタと忙しい毎日を過ごされている方も多いのではないでしょうか。卒業や入社、引っ越し、異動転勤などなど。
私たち農家にとっては、ぼちぼち仕事が始まるな~という気持ちになる季節です。
冬の間は、あまり仕事はありませんが、徐々に温かくなり、田んぼの様相も変わってきます。草が生えてきたな~、草刈しなきゃな~、田んぼの代掻きそろそろかな~と、田んぼを見るとあれこれ作業が思い浮かびます。
忙しくなるのはなにも人間だけではないようで…あちこちで、生き物たちが動き始めています。
この風景を見ると「春がきた!」と思うのは、毎年のことです。スギナという雑草から出てくるこのつくしたち、田んぼの畔一面ににょきにょき出てきます。なんだかわくわくしますよね。
こちらは、近くの川にいたカメ。きっと「アカミミガメ」であろうと推測されます。体に入ったタテ模様が特徴的。日向ぼっこしている姿がよくみられます。人影を察知すると、急いで川へ飛び込んでしまうので写真をとるのもなかなか難しい…!!(ということで、この写真を撮れたときは我ながらかなり感動しました(笑))
このアカミミガメ、もともと日本にいたカメではありません。北アメリカや中央アメリカの流れが緩やかな淡水域に生息していたものです。それが1966年以降、日本に「ミドリガメ」という名称でペットとして大量に輸入されたそうです。「ミドリガメ」、小さくてかわいらしいイメージですが、成長するとかなり大きくなり、獰猛な性格になるのだとか…。そのため、飼い主が逃がしてしまうケースが増えた結果、現在野生のカメのほとんどがこのミドリガメ、すなわちアカミミガメになっているとのことで…。このカメたちには何の罪もないのですが、アカミミガメは獰猛な性格に加えて雑食性のため、なんでも食べてしまいます。その生命力の強さ故、在来のカメが減少しているのです。
このように、もともと日本にいなかった外来の生物が人間の勝手な理由で野放しにされ、管理の行き届かないところまで広がってしまい、本来の日本の自然環境を壊してしまう、といった話は珍しいものではありません。
田んぼの畔に咲く雑草たちも、川を泳ぐメダカや壁面にくっついている貝類も、外来種がたくさん。
当たり前の景色は、いつのまにか大きく様変わりし、あるはずだった景色がどんどん失われていくのはとてもさみしいことです。私たち人間の勝手な理由で長年築かれてきた環境をこれ以上壊さないためにも、何ができるのか、微力ながらに模索していきたいと思います。
それでも、生きているものの命は尊いものです。外来種であれ、排除だけが正しいとは限りません。農業は自然あってこその産業です。実りがあるのも、多くの命があってこそなので、これからも自然とうまく付き合っていけるような、そんな農業を考え続け、実践していきたいと考えています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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