大したことないけど私が見てきたもの

 私は、大学を卒業してまだ2年ほどです。

 大学では、農業生産分野の特に米麦の有機栽培について研究をしていました。「研究」とは言い過ぎかもしれませんね。たった1年間、たった1度の試験で論文を書いただけです。

 その時、私の試験にとても重要にかかわっていた、雑草。それが、こちら。

 ご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。

「コナギ」 です。

 古葱とかいて、コナギと読むことがあったとか、昔は食用だったとか、様々な資料があります。

 このコナギ、花を咲かすと柔らかな紫色でとてもきれいなのです。雑草の花って、なかなか注目されませんが、非常に魅力的なものが多いですね。

 このコナギもその中の一つかな。

 しかし、コナギは水田ではかなり厄介者として扱われます。一度発生すると、水田表層がまったく見えないほどはびこります。根を広くはり、稲の養分を奪う力は最強です。コナギが大量発生すれば、稲は栄養不足で弱ってしまい収量低下につながります。

 そのため、コナギへの対策は様々な形で講じられてきています。

 そんな中、私は「有機質資材」を用いてコナギの発生を抑制できないか、と実験を実施しました。結果は、想定外のもので、有機質資材によってコナギの発生・生育が促進される場合が見られました。

 これでは本末転倒、とも思いましたが、これまでの結果を完全にひっくり返すような結果は、大きな意味を持っています。これまで「効く」と思っていたものが、突然「逆効果」になる。

 これはきっと、私の経験したコナギの場合だけではありませんね。

 農薬への抵抗性を身につけた生物、増えていますよね。

 それに負けない農薬をさらに開発します。そして、また抵抗性をもつものが誕生します。

 負の連鎖です。

 どこで、誰が、どうやって、断ち切るのか。

 些細なこと、大したことのない話だったかもしれません。でも、今の私の仕事への想いを支えている熱意の一つには、この経験が大きく影響しています。

 このコナギを見つけたのは、田植え後の7月14日です。大量発生ではありません。ただ、畦際に数株ありました。きれいな花につい写真を撮ってしまいました。

 負に偏らない、そんな気持ちで仕事に取り組みたいと思います。

岡山もち麦 《ふるいち農園》

岡山県岡山市西大寺地区で4代にわたり米麦の生産・販売を行っています。  2016年からもち麦「キラリモチ」の栽培を行っています。栽培から加工・販売まですべて責任をもって行っています。  安心・安全を第一に、家族総出で食卓に「おいしい」の笑顔をお届けします。

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