師走
しばらく前のことになりますが、稲刈りが11月末に終わりました。稲刈りの終盤は、タマネギの定植や麦の播種が重なり、かなりあわただしい日が続きました。今年の稲刈りは、天気にも恵まれ機械の不調もなく比較的スムーズに進めることができ、農園内でも事故やケガもなく終えることができました。私が農業を手伝い始めてから近隣農家の先輩に、「農業は身体が資本だから大事にせんといけんよ」と言われたのをよく覚えています。体調管理や作業中の危機管理も大事な仕事の1つだと意識することが大切ですね。
もち麦の播種は適期に行うことができ、今も田んぼでぐんぐん生長しています。去年は作業が遅れに遅れ、今頃出芽が始まりそのまま年内は出芽が揃うことなく、正月あけにようやく田んぼ全体が緑に見え始めました。昨年の稲刈りは長雨の影響で期間が延長してしまい、それに伴い麦の準備のなかなかできずじまいで、結局まともな麦ができませんでした。
麦の出来ひとつで、味にそんなに影響があるのか、正直個人的にはそこまで意識したこともなく、一口食べて「ん、今年はなんか違うぞ」なんて思うときがくるとは思っていませんでしたが…今年のもち麦と去年のもち麦は、味が違います。どちらが美味しいまずい、ではなく。「味が違う」んです。お客様の中にもその違いを感じられた方がいらっしゃって、「今年はなんか違うんかな?」と聞きにこられた方も。その意見を「そうかな~どうかな~まぁこんなもんだ~」と受け流すことはたやすいですが、やはりそこは「何が違うのか、どうして違うのか、どうすればよりよくなるのか」と研究することをあきらめてはいけないと、今年は強く感じました。10人のうち、1人であっても直接意見をいただけるのは非常にありがたいことで、そこで気づくことができればもっと多くの方に喜んでいただける商品を作っていくことができます。一人の意見を無駄にするような生産者には、10人を幸せにする産物は生み出せないと思っています。
「今は売れているからいいじゃないですか」と言う方もいらっしゃいますし、「売れなくなったら少し安くすればいいじゃないか」という方もいます。そうやってその場をしのぐ方法はいくらでもあることでしょう。
でも、それでは自分たちも向上しないしお客様に対しても失礼なことだと思います。美味しくなければ買わない、必要なくなれば買わない、見ない。それが消費者としては当たり前の行動です。消費者でもある生産者だからこそわかることや感じること、できることがあるので。それを着実に進めて、少しでもお客様に寄り添えるそんな農家でありたいと思います。地域の皆様に支えられてこその農業です。人との繋がりを大切に、これからも私たちは、一人でも多くのお客様を笑顔にできる、そんな商品づくりに励んでいきます。
長々なりましたが、読んでくださりありがとうございました。
0コメント